常盤台めぐみ幼稚園

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えんだより 1月 巻頭言

「故郷の味」

 少し長いこの冬休み、子どもたちとどのように過ごされたでしょうか。年越しそばを食べ、正月にはおせち料理…と言う日本の伝統的な食文化を継承する家庭は徐々に少なくなっています。我が家も東京に来て7年目のお正月。初めて九州のお雑煮を元日に作ることになりました。それは福岡に住む私の母が年末から我が家にしばらく滞在することになったからです。博多雑煮の定番は、ブリの切り身とカツオ菜(アブラナ科に属し高菜の近縁の野菜。食べた時、魚のカツオに似ている)を入れ、その中に他の地方と同じ、餅やかまぼこを加えると独特の味が出るのです。今回、さすがにブリは高いのでハマチに、カツオ菜も東京では買えませんので、小松菜を使って久々に博多雑煮モドキを食する機会を得ました。全く同じとは言えませんでしたが、久々に食べたふるさとの味は、味覚もさることながら、忘れかけていた幼い頃に祖父母、親戚と過ごした楽しい思い出がよみがえってくる特別な一時となりました。

 皆さんのご家庭では、故郷の定番料理と呼ばれるものがあるでしょうか。かつて何気なく食べていたそれらの料理には、地元食材をバランスよく用い、ビタミンが豊富で免疫力を高める力が含まれたものが多かったことに気づかされ、改めて驚かされます。何よりも、心を込め、手間暇かけて作った料理を、万難を排して家族全員が集まり、食卓を囲む姿にこそ、お正月を過ごす意味があったと思います。海外でも、クリスマスや、他のお祝い事の時に家族全員が集まる機会があります。幼い頃はただ受け身で美味しい物を家族と食べるだけで満足するのですが、成長し、実家を離れた時に、当たり前であったことがそうでなくなる体験を通して、人は不思議と故郷の味、おふくろの味が懐かしくなり、作り方を習って、自分の子どもにも味わわせたいと願うようです。通常の時間の流れと違うこの年末年始のお休みを利用して、家族の味、故郷の味を味わい、継承する時間を過ごすことは、生きる喜びに間違いなく彩を添えるようです。

いよいよ最終の学期を迎える年長組のお母さま方にとっては小学校に進級する前、最後のお弁当作りの日々となります。正月料理のような華やかさはお弁当にはないかもしれません。ですが、子ども達にとってはこの3年間に味わったお弁当の味もさる事ながら、お母さま方から注がれた愛情を忘れることはないと信じます。長い間、本当にお疲れさまでした。

 

園長:友納靖史

 

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