えんだより 2月 巻頭言
進級・卒園を前にしている子どもたち…あと二ヶ月後には、それぞれの新しい道へと期待を持って進んでいきます。大きくジャンプをする前には、深く沈んで心と身体の準備をしますから…『ジャンプ』前の今月…冬の木々の芽と同じように、しっかりと力を秘めて、新しい道を歩み出す時には、自分たちらしい姿で歩んで欲しいと思います。
2月は1年で1番寒い月ですが、園庭のすっかり葉を落とした『ヤマボウシ』の木の枝は、みっちりと蕾を付け、確実に来る『春の訪れ』を子どもたちにも知らせてくれています。
裏庭に子どもたちが植えた球根の芽も自分たちの存在をアピールするように、土の中から勢いよく芽を出してきています。以前、同じような時期に子どもたちと球根を植えた際、1つだけ球根を籠に忘れたことがありました。籠を棚の上にあげてしまい何ヶ月か過ぎ、その籠を下ろした時…職員室に驚きの叫びと笑い声が渦巻きました。土の上から出てくるしっかりとした真緑色の球根の葉とは、似ても似つかない、黄緑色・黄色のひょろひょろしたネギのような細長い球根が出てきたのです。どこに向かって伸びていけばいいのか散々迷ったであろう、疲れきった球根の姿に、この球根が持つ生きる力を最大に発揮し、救いの手を伸ばすように必死に伸びていこうとした様子が伺え…笑いから反省に変わり『球根』の命・環境の大切さを目の当たりにした経験があります。私は、子どもたちに球根を植えるときには、この失敗談を話します。球根の花が気持ち良く咲くことが出来る環境を整えることが、どんなことかを皆で確認して、球根を渡します。今年の裏庭の球根は、子どもたちの愛のある『環境設定』のおかげで、しっかりと太陽に向かって真緑色の芽を光らせています。
振る舞いが存分に出来るよう、じっくりと今できること・すべきことを子どもたちと経験し、一人ひとりのこの一年の成長を喜び・感謝し、大切に見守っていきたいと思っております。
副園長:助川賀子