えんだより 10月 巻頭言
2016.10.03
澄みわたる秋空か恋しい季節となりました。運動会に向けて子どもたちは、毎日のように競技や遊戯の準備に取り組んでいます。それぞれが、それぞれに精一杯チャレンジしようとする姿を見ているだけで、不思議な力を園児から頂くことができます。先日、NHKテレビ「すくすく子育て」に出演される井桁容子先生の講演をお聞きする機会が与えられました。この社会はこれまで子どもたちをIQ(知能指数)だけで測ってきたが、それ以外の能力(「多重能力」 H. ガードナー著)をありのままに認め合い、引き出して子どもたちを育み活かすことが益々グローバル化する中でこの日本社会で必要だと力強く語られました。それは、言語数学の能力(IQ)だけでなく、音楽、体育、空間感知、博物学、人間関係、内省する能力などです。しかし講演会後、主催者の方々と共にランチをさせて頂いた際、先生が、「忙しいなかで疲れていても夫から『君がいてくれるだけで僕は十分。だから無理しないように』」といつも言ってくれることや、愛する家族との死別の悲嘆を乗り越えた体験が今の自分を支えておられると、分かち合って下さいました。その話をお聞きしながら、実は「多重能力」を書いたハーバード大学のこの著者が、上記の多重能力以外に、本当は「実存と霊的能力」が必要だと語りながら、公立学校や一般社会では教えられないこの能力こそ、キリスト教保育の使命の一つだと改めて教えられました。つまり、何ができるか、できないかではなく、「あなたがいてくれるだけで嬉しい」とまず感じ取り、喜び合える能力こそ、この運動会で私たち大人の発揮する出番だからです。
園長: 友納靖史