えんだより 10月 巻頭言
「レーナさんとの出会い」
2002年、前任地の長崎教会が創立100周年を迎えることになりました。百年前、偏見や迫害を恐れずに日本各地に海外から命をかけて来て下さった宣教師や、その教えを信じて共に活動した方々のスピリット(精神)を思い起こし、地域に求められている働きをしたいとの願いが生まれました。その頃、生まれつき両腕がなく、片足の半分もハンディーを負っていながら、輝いた笑顔でゴスペル賛美を歌うレーナ・マリアさんの姿に、日本のメディアも特集を組み、学校教育でも彼女の生き方が教材として紹介されていました。そこで何とか長崎へもお招きできないかと日本の窓口にコンタクトしました。するとその時、ホンダ技研工業が企業の地域貢献活動として各県一回だけ、「レーナさんと小学生との対話集会(歌と対話のプログラム)」を全額費用負担する企画があると言われ、応募の結果、許諾されました。そこで長崎市教育委員会の協力で市内にある公立小学校へ参加希望を募りました。すると、1500名収容できる会場に対し、3000名の子どもたちが各学校を通してレーナさんに会いたいと表明してきました。最初、半分を断ることも考えましたが、『求めなさい、そうすれば与えられる』とのイエスの御言葉にその当時の実行委員会は押し出され、ダメ元?覚悟で、ぜひ子どもたちのために朝と昼と二回の対話集会を行うことができないかをレーナさんとホンダに手紙を送りました。すると双方よりOKとの返事を頂き、当日それぞれ最後の歌は、会場が溢れんばかりの子どもたちと共にレーナさんが、長野冬季パラリンピックのテーマ曲「旅立ちのとき」を大合唱し、生涯忘れ得ない感動を共有したのです。あの時の小学生はもう社会人となってしまいましたが、きっと心の中に大切な思い出となっていることでしょう。あの日の対話集会で、小学5年生のある女の子が、「レーナさんは重い障害を持ちながら、どうして元気で過ごせるのですか?」との問いかけに対して、答えられた言葉を今も忘れることはできません。「神さまは全ての人を価値ある存在として造られました。私は身体において他の人と違いはありますが、それ以外は(神さまの目には)何も他の人と変わらない貴い存在だと、信じているからですよ」と。
今回は、小さな常盤台の礼拝堂にレーナさんが来て、子どもたちと時間を過ごしてくださいます。この出会いの貴さを理解するのは、後で卒園アルバム写真などを見直す、大人となった時かもしれません。ですが、時が移り変わっても決して変らない神の愛と、人間一人一人の存在を互いに喜び合える素敵な種が、園児たちの心の中に蒔かれ留まることでしょう。ぜひご家族と共にレーナさんと出会って戴けますように。
園長:友納靖史